3章 顔の美しさの条件1 ~治療の時に私が気にしていること~
3章 顔の美しさの条件1 ~治療の時に私が気にしていること~
私の考える美しい顔の条件というのは、
- 顔面各パーツがおおよそ左右対称であること
- 顔面各パーツの高径比率がととのっていること(顔のパーツの配置されている比率が整っていること)
- 現代人の特徴がしっかりと表現されていること
です。
ここでは、特に顔面各の対称性について考えてみます。
この方は、下顎に腫瘍ができ、増大したことが原因で顔が歪んだ方です。非対称であることがわかります。
下アゴの変形に伴い、上アゴにも変形がみられました。これを手術で治した写真を示します。
同じ人なのですが、顔の対称性が改善すると人相が良くなったように見えますね。勿論、顔が良くなったことによる本人のコンプレックス改善が、顔の表情にでていることも考えられます。
ここまで顔は対称だと良いという話を書いてきました。しかし、顔が対称だとなんでも良いのかといいますと、実はちょっと違うのです。
完全に左右が対称な顔をコンピューターで作ってみるとなんだか気持ち悪いですよね。
人間は、完全に対称なものをみるとなんともいえない違和感や恐怖を感じます。このことから、人間の顔はおおよそ対称であるのが良いといえます。
私の考えでは、アゴや噛み合わせに症状がでる程歪んでいる方 や他人から顔が曲がっていると多く指摘される方は、機能的にも心理的にもよろしくないので、顔面非対称に対する治療を考えても良いかもしれません。
顔の美しさの条件2 ~手術の時に私が改善したいこと~
ここでは、特に顔面各パーツの高径比率について考えてみます。
黄金比と顔
皆さん黄金比というものをご存じでしょうか。フィボナッチレシオともいわれ、その比率で構成されているものを人間は本能的に美しいと感じるといわれています。
黄金比率は、1:1.618、、、であり、5:8に近似するとされています。
黄金比はピラミッドやパルテノン神殿といった美しい建築物にも発見することができ、レオナルド・ダヴィンチも絵画の構成もこれを使用したものが多いとのことです。
自然界にも見られることがあり、巻貝の中にこの比率を繰り返すものがあるということです。
また、自然現象ではないですが、株式市場や為替の値動きの波にもよく見られる比率で、トレーダーの方々が値の変動を予測するのにこの比率を用いることがあるという不思議なものです。
この比率を使用して、人間顔が究極に美しくなるのマスクを作った方がいて、このマスクに一致する顔は、どの時代、どの地域でも、美しく見えるとのことです。
このマスクと全ての患者さんの顔を完全に一致させる事は難しいかもしれません。しかし、私たちの手術では顔面の比率を考えながら手術を行います。顔のバランスとして中顔面・オトガイ部の長さを調整することにより、他の人からみて整った顔を作るように意識しています。
図は、ゴールデンコンパスと美しい顔面高径の比率を示したものです。
コンパスは、1:1.1618の黄金分割を作りだすようになっています。これを使って、顔面各部の比率を確かめながら手術を行います。
これを利用しますと、人間の顔を驚くほどバランスがとれるものなのです。
この方は、しゃくれているとともに顔がながすぎましたので、顔の長さと比率を整えました。咬み合わせが良いだけでなく小顔の綺麗な顔にしあがっていると思います。
人間の各部の比率を整えると顔が綺麗に見えるというのが理解できると思います。
顔の美しさの条件3 ~手術の時に私が気にしていること~
ここでは、人類の顔の進化について考えてみます。
人間は、人間として進化した顔を美しく感じるようです。しかし、進化と退化という言葉は表裏一体であり、何が進化で何が退化かというと、なかなか難しいものです。
人間の顔の特徴
現代人と同じ先祖から別れた類人猿の顔を比較してみます。
ゴリラやチンパンジー、オラウータンは、我々人間と同じ先祖から別の進化をとげた生物です。わたくし達の祖先ではありませんが、その顔と我々人間の顔を比べることにより人間の進化の特徴とそれぞれの類人猿の進化の特徴をとらえることができます。
それを比べると、人間の進化の特徴 ≒ 美の要素 は関係があると考えています。
まとめてみますと、下記のようになります。
勿論、異論もあるとこととは思いますが、ここでは私の考える美の基準を記載します。
- 前頭部が発達した → 脳の容積増大他の類人猿と比べると人間の脳の容積は非常に大きいことがわかります。
- アゴ骨の退化 → 知能の獲得により調理を覚え軟らかいものを食べるようになった。人間の骨格は、他の類人猿と比較して、アゴの骨が頭に対して非常に小さいことがわかります。 これは、人間の脳が進化したために、火を使ったり、ナイフなどの道具を使い調理ができるようになったことと関係しています。食物を小さく、軟らかく調理することにより、人間はアゴや歯をあまり使わずに食物を食べることができるようになりました。高度な調理ができない他の類人猿と比較して、あまりアゴや歯を使わずに摂食ができるために、アゴが小さくなったのです。 人間は、このアゴの形態の変化も美しさの要素として感じているようです。
- オトガイの肥大 → 言語の獲得によるオトガイの発達類人猿にはなく人間にしかないものは、なんといっても高度な言語能力です。人間は高度な言語を使いこなすためには、脳の舌を動かす必要があります。アゴの骨と舌はオトガイ舌筋、顎舌骨筋などで繋がっています。これらの筋を支えるためにオトガイ部の骨が発達しました。 オトガイの発達した人をみると美しく感じるようです。 しかし、骨体部ごとでているいわゆるシャクレ・下顎前突と正常な骨体部に対してオトガイが発達しているのは同じではありません。
人間の顔はさらに進化(退化?)してゆくといわれています。特にアゴは、硬いものを食べなくなることが予想されるためどんどん細く小さくなるでしょう。
未来人の顔の予想図は、頭が大きく顔(アゴ)は細くなっています。
最近、小顔という言葉が良く使われます。ほとんど美人≒小顔というような使われ方をしていると思います。なぜ小顔がもてはやされるのかということを考えてみました。
小顔というのは頭が大きく、アゴ(顔)が小さくなったいることを意味しています。これは、人類の進化(退化)の方向は美しいと人々が感じているからだと考えます。
また、エラが張っているのが嫌という方が最近多くなりました。エラのいうのは、咬むための筋肉(咬筋)と骨が発達してできている部位です。わたしは生命力のある顔だと思いますが、エラが嫌だというのはやはり小顔の反対だからなのでしょう。
私は、顔のバランスと噛み合わせを考えるとき、これらの現代人の特徴を美しく手術結果に反映するように心がけています。
顎矯正外科の手術で改善することができるのは、中顔面の長さの比率とオトガイの形、前歯部の出っ張り具合や前歯の傾斜などです。
顔の美しさの条件4横顔美人 ~Eラインが達成されていること~
顔の形を手術で美しくするためには、正面顔の対称性だけではなく、以下の3つの要素を加味する必要があります。
- 顔のパーツの配置されている比率が整っていること
- 現代人の特徴がしっかりと表現されていること
- Eラインが達成されていること
横顔美人のキーワードとして“E-line”は最も有名です。 EラインのEは、『エステティック』ですから、そのまま顔の美しさに関係したものであることがわかります。 日本成人矯正歯科学会は、毎年横顔の美しい著名人をE-ラインビューティフル大賞として定期的に表彰しています。
Eラインは、鼻の先端とアゴの先端を結んだ線であり、この線の内側に上下の唇が収まっていると美しい顔だとされています。
E-ラインを達成していると必ず、綺麗な横顔かというと必ずしもそうではありません。 私は、綺麗なEラインを達成するためは、二つの要素が大事であると考えます。
- 鼻唇角が小さいこと
- 上アゴと下アゴの位置関係が適切であること
1.鼻唇角が小さいこと(小さいナゾラビアルングル)
鼻と上唇のなす角度(ナゾラビアルアングル)が、110度位だと美しいと言われています。
この角度が小さいと横顔が美しく見えないものです。
自分で確認する際は、三面鏡で自分の横顔を確認するか、形態のカメラで自分の横顔を撮影して確認するとよいでしょう。
2.上アゴと下アゴの位置関係が適切であること
下アゴが前にでている方いわゆるしゃくれの方の横顔は、Eラインが達成されているのに美しくありません。 これは、上アゴと下アゴの位置関係が不適切であり、下アゴが前にですぎているためにEラインができているだけなのです。 こういう顔の場合は、上アゴが下がっているために鼻唇角が大きくなる傾向があります。
まとめ
横顔美人の条件は、 ナゾラビアルアングル(鼻唇角)が大きく、上下のアゴの骨のバランスが良い方でEラインができている方は美しい横顔です。
日本人は、他の人種と比較して歯がアゴの骨に収まらない方が多く、出っ歯の方が多い(ナゾラビアルアングルが小さい)傾向があります。ですから、歯列矯正なしEラインが自然にできる方は少ないようです。 日本人でEラインができていて、美しい横顔の方の中には、歯列矯正や顎矯正治療を受けたという方が多いのではないでしょうか。
以下の悩みの方は、顎矯正外科にて顔の形を土台から整えることにより、綺麗なEラインが達成され悩みが改善されるかもしれません。
- 口元がとびでている
- でっ歯である
- Eラインが美しくない
- Eラインがまったくできない
- 横顔がきれいでない
4章 セルフチェック
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