2章 矯正歯科と顎矯正手術の違い

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2章 矯正歯科と顎矯正手術の違い

歯並びを治す矯正歯科と何が違うのかと疑問を持たれる方もいると思います。

がく矯正手術と矯正歯科は、別のものではなく、互いに補完させる関係にあります。 矯正歯科治療だけで、咬みあわせを治すことができる方というのは、アゴの骨があまりずれていない方です。多くの方は、矯正歯科治療のみで咬みあわせを良くすることができます。しかし、上アゴと下アゴの骨が大きくずれている方では、矯正歯科だけでしっかりと歯を並べることは困難ですし、顔の歪みや変形を改善することはできません。

アゴの骨に大きな位置異常のある患者さんを矯正歯科で治療する際には、顎矯正手術が必要なのです。

がく矯正手術を行う時に、噛み合わせの調整を行うのは矯正歯科の先生です。がく矯正手術に矯正歯科は必須なのです。 実力のある矯正歯科のドクターは、患者さんを診察して、矯正歯科で治療できるものか、顎矯正手術が必要なのかを的確に判断することができます。

『顎口腔機能診断』※ができる矯正歯科医院は、患者さんに必要な治療が矯正歯科治療か、がく矯正手術治療かを見極めることができる施設といえます。

がく口腔機能診断ができる歯科医院の矯正医は、がく矯正外科でも矯正歯科治療どちらでも治療することができるので、患者さんにとって最善の治療法を提示してくれます。 もし、あなたが咬み合わせだけでなく、顔の変形(歪みや受け口)を改善したいのであれば、がく矯正外科による治療が必要なのかもしれません。顎矯正外科の適応があるか否かは、『顎口腔機能診断』施設を受診して、咬みあわせと顔の変形について相談してみるのが良いでしょう。

また、上アゴと下アゴのズレ(上下のオレンジの部分)が大きいのにもかかわらず、矯正歯科治療だけで、無理に歯だけ(黄色の部分)咬みあわせを作ると歯やアゴの関節に過剰な負担をかけるということが起こりえます。

歯というのは基本的に骨にささっている杭です。杭は真っ直ぐ叩いている分には長持ちします。アゴの位置が大きくずれているのに、無理に並べた歯というものは、無理な傾斜をあたえられますので、長期の予後を考えるとあまり良いことではないでしょう。

黄色の部分(歯)だけのずれは矯正歯科 オレンジ色の部位(アゴの骨)が大きくズレている場合は、矯正治療だけで治療することが困難⇒顎矯正外科

また、受け口(いわゆるしゃくれの方)の方で、※8020を達成している方はほとんどいないとの論文や報告はいくつもあります。

※80歳までで20本歯を残そうという運動

わたくしは、がく矯正外科の立場から話をしていますので、顎矯正外科のメリットばかりを書く傾向があります。中には手術の結果に満足されない患者さんもいるでしょうし、手術は合併症を伴うこともあります。

夢のような治療ですが、当然メリット・デメリットがあります。 がく矯正外科のデメリットにつて書いておきましたのでそちらも参考にしてください。 そういった事も良く考えて、患者さん自身が治療を検討するのが現代の医療です。

がく矯正手術+矯正歯科 矯正歯科治療
噛み合わせ
健康保険 矯正歯科:適用 手術:適用 矯正歯科:自由診療のみ 手術:-
顔の形 変形を改善 あまり変わらない
手術 あり 小さな手術を併用することもある
入院 あり なし
治療期間 1年~3年程度 1~3年程度

※アゴの骨のズレが大きいにもかかわらず、矯正歯科のみで治療した場合、歯に負担がかかる。

美容外科との違い

根本的な顔のバランスを治す『がく矯正治療』

顔の中心部分である上顎骨の3次元的なズレを修正します。ですから顔全体のバランスを修正することができます。顔が長すぎる・丸い・歪んでいるetc また、アゴの位置を改善することができますので、咬みあわせや顔の形というものも改善することができるのです。

パーツごとをなおす美容外科

美容外科の優れているところは、顔の一つ一つの部位の修正といえます。 目の二重の形や・鼻の細かい修正、シミ、シワなどの修正は美容外科の得意とするところです。このような細部の修正は美容外科でしか治すことができません。

また、美容外科の多くは、“プチ整形”や“日帰り整形”という言葉もある位ですから、入院の必要な処置までは行わないのがほとんどです。最近では、ヒアルロン酸注入やボトックス注射も有名です。このような注射で行う美容外科処置は、しばらくすると薬の効果がなくなりますので、気軽にできるというのも利点といえるでしょう。

美容外科は、体の表層の修正をしているのです。

間違えていけないのは、顔の骨格に根本的な問題がある時は、美容外科では治せないということです。顔面の根本的な問題を解決できるのは顎矯正外科なのです。

がく矯正外科の治療が必要なのに、美容外科による治療だけで顔を治そうとしますと仕上がりに満足がいかなかったり、次から次に美容手術を行うことになったりしますが、骨格からのズレは改善されませんので、答えのない答えを探すようなことになってしまうのです。

骨格(土台)から治すなら顎矯正外科

美容外科では、顔の土台である中心部(上アゴ骨)を整えることができないため、顔の中心のズレを無視して、末端だけを整えることになります。そのため仕上がりが不自然と言いますか、しっかりと咬むということと、関係なく形だけを整えます。例えるならば、遅い車にスーパーカーのボディをかぶせるようなものです。 機能的な改善の伴わない美容外科に、健康保険が適用されることはありませんので、当然、治療費は全て患者さんの負担となります。

がく矯正手術は、咬めない・発音できないという、“機能障害”の治療が1番の目的ですから、まずしっかりと咬め、発音できるようになります。また、『機能障害』の治療が目的ですので、健康保険が適用となります。

がく矯正手術ではしっかりと咬める・発音できるように、アゴの位置の異常をなおします。 そのため見た目も自然と整うのです。

基本的に、機能と外見というものには関係があります。しっかりと動く・働くものの形というのは基本的に美しいものです。飛行機やF1マシーンなど機能をつきつめたものは、基本的に形は美しいのです。

良く噛める、発音できるアゴや顔の形は、美しく見えるものなのです。

アゴを美容外科で治す場合との比較

がく矯正外科 美容外科
噛み合わせ ×
健康保険 ×
美しさ ▲○

ここでは、アゴの治療に関するがく矯正外科と美容外科との違いについて書かせて頂きました。アゴ周りの美しさを求める場合には、美容外科よりがく矯正外科の方が優れていると私は考えます。

わたしは、顔の形に問題がある場合には、はじめにがく矯正外科で根本的な顔の骨格の改善をし、その後に、まぶたや鼻など末端の形に異常がある場合には、美容外科で末端部位を改善するのが正しい手順だと思います。 また、アゴの位置に問題の無い方で、まぶたや鼻などに形の問題がある方は、はじめから美容外科に受診するのが、良いと考えます。

整体による顔面の骨格矯正

最近 整体などで“骨格矯正”とよばれるものがあります。頭や顔面の骨の縫合部にアプローチして顔の骨の形を変えるというものがあります。 整体で顔面の骨の形を変える事は、医学的に100%不可能です。 実際に、顔面の骨格矯正を宣伝文句にしていた、中央区の整体が厚生労働省より営業停止を通達された事例があります。

参考:『日本経済新聞

顎変形症コラム納得して治療を受けるために